北海道・北東北の縄文遺跡群ー1

北海道・北東北の縄文遺跡群は、北海道の道南、本州の北東北に分布する縄文時代の遺跡群の総称です。
発掘調査された考古遺跡のみで構成される国内初の世界遺産で、北海道・青森県・岩手県・秋田県の1道3県に点在しています。
北海道エリア
キウス周堤墓群(きうすしゅうていぼぐん)


北海道千歳市にある縄文時代後期の集団墓8基で構成される史跡です。
およそ3200年前につくられたとされる8基の墓は、それぞれ1号~8号と割り振られており、縄文時代の墓としては国内最大です。
墓穴を掘った土を周囲に円状に盛ってあり、堤のように見えることから周堤墓群と名付けられました。
北黄金貝塚(きたこがねかいづか)

北海道伊達市北黄金町にある縄文時代前期~中期の、大規模な貝塚を伴う集落遺跡で、北海道にある縄文貝塚の1/5を占めるという広大な面積です。
全5か所の貝塚からは、ハマグリ、カキ、ホタテといった貝類や、マグロやヒラメといった魚骨、さらにオットセイやクジラといった海獣の骨も多数出土しています。
人骨が埋葬された14基の墓や、鹿の頭骨を配置した動物儀礼の跡も発見されており、死者を送るための場所であったことが分かります。また、その他の出土品としては、世界最古の刀などがあります。
本貝塚は「アイヌと倭人の分岐点となった7000年前の史跡」として、当時の社会や人々の生活を知る上で大変貴重な遺跡といえます。
入江貝塚・高砂貝塚(いりえかいづか・たかさごかいづか)




北海道洞爺湖町入江と高砂町にある縄文時代前期~晩期中葉(紀元前3,500年~紀元前800年)にかけての、貝塚を伴う遺跡です。
建物は縄文時代前期~後期のものが多く、入江貝塚からは縄文時代前期末の人骨が4体、中期のものが4体、後期初頭のもの7体 の計15体が出土しています。
また、貝塚の貝殻以外にも、海獣の骨や魚骨が見つかっており、当時のこの地域の漁労文化の発達がうかがえます。
大船遺跡(おおふねいせき)


北海道函館市にある縄文時代前期後半~中期後半(約5,200年~4,000年前)の大規模な集落遺跡です。
盛土遺構や竪穴住居、フラスコ状土坑などが発見されています。
100棟を超える竪穴住居域、大規模な盛土遺構、100基以上の土坑墓群が確認されており、北西には落とし穴も見られます。
約1,000年に渡り存続したと思われる集落から発見された竪穴住居群は、床を深く彫り込んだ大型住居が多く、中には深さ2mを超えるものもあります。
出土品としては、大型のクジラやオットセイの骨、クリやクルミ、2,000点を超える石皿などが見つかっています。
垣ノ島遺跡(かきのしまいせき)

北海道函館市にある縄文時代の遺跡です。
縄文時代早期前半(約9,000年前)の墓制、駒ヶ岳噴火による集落の断絶、後期初頭の盛土遺構~後期後半(約3,500年前)に至るまでの縄文集落の変遷と生活痕跡は確認できます。
中期に造られた盛土遺構は長さ120m以上におよぶ大規模なもので、国内最大級で墓制を示す貴重な遺跡です。
遺物も非常に多様で、中でも約9,000年前の土坑墓から見つかった漆塗りの糸で編んだ装飾品は、世界最古の漆工芸品です。
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