9:古都奈良の文化財-1
奈良は710年~784年まで日本の首都であり、政治・経済・文化の中心として栄えました。
唐(当時の中国)との交流を通じて、日本文化の原型が形成されました。
その後、京に首都が移ったあとも大社寺を中心に宗教都市として存続し栄えました。
古都奈良の文化財の文化遺産には宮跡、寺院、神社などで構成されています。
東大寺


東大寺は華厳宗大本山である仏教寺院、本尊は奈良の大仏として知られる廬舎那仏(るしゃなぶつ)です。
正式には金光明四天王護国之寺(こんこうみょうしてんのうごこくのてら)ともいい、奈良時代(8世紀)に聖武天皇(第45代天皇・701年9月18日~756年6月8日)が国力を尽くして建立した寺です。
開山(初代別当)は良弁、現在の別当は224代目(第224世)。
東大寺の廬舎那仏(奈良の大仏)


創建当時は大仏殿(金堂)の他、東西に七重塔(高さが推定70メートル以上)を含む大伽藍が整備されていましたが、中世以降、2度の兵火によって多くの建物を失いました。
現存する大仏は度々修復を受けており、台座(蓮華座)の一部に当初の部品を残すのみです。
また、大仏殿は江戸時代に規模を縮小して再建したものです。
「大仏さん」の寺として、古代から現代に至るまで、広く信仰を集め、日本の文化に多大な影響を与えてきた寺院であり
聖武天皇が当時の日本の60余ヵ国に建立させた国分寺の中心を為す「総国分寺」と位置付けられました。
興福寺
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法相宗の大本山。山号はなし、本尊は釈迦如来。南都七大寺(奈良時代に朝廷の保護を受けた7つの寺を指します。東大寺、興福寺、元興寺、大安寺、薬師寺、西大寺、法隆寺 とされます。)の一つです。
藤原氏の祖である藤原鎌足と、その子息・藤原不比等ゆかりの寺院であり、藤原氏の氏寺で、古代から中世にかけて絶大な勢力を誇りました。
上記写真は東金堂と五重塔で共に国宝です。
春日大社
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神社本庁の別表神社であり、全国に1000社ある春日神社の総本社です。
主祭神は4柱。総称して春日神と呼ばれ、藤原氏の氏神です。
・建御雷神(タケミカヅチ・タケミカヅチノオ)第一殿・藤原氏守護神、常陸国鹿島の神
・経津主神(ふつぬしのかみ)第二殿・下総国鹿島の神
・天児屋命(あめのこやねのみこと)第三殿・藤原氏の祖神、河内国平岡の神
・比売神(ひめがみ)第四殿・上記した天児屋根命の妻(その正体は天照大神とする説がある)
春日山原始林

250haの広さのこの原始林は、春日大社の神域として古より狩猟・伐採が禁じられてきました。
樹木伐採を841年から禁じてきたため、森林が極相に達した原生林が広がっています。
主な樹種は、ナギ・ヤマモモ・シイノキ・アラカシ・ツクバネカシ・イチイガシ・カゴノキ・アオガシ・イスノキ・サカキ・クロバイなどです。
林中には、蔓性植物も多く、特にカギカヅラが多く、ビナンカヅラ・ウドカヅラ・テイカカヅラ・オオイタビ・ヤマイバラ・ゴトウヅル・フジなども多く見られます。
市街地に隣接して原生林が存在することは極めて珍しく、学術上の価値も高いことから、1924年より国の天然記念物に、1955年からは特別天然記念物に指定されています。
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