18:現生人類の出現:南アフリカの更新世の居住遺跡群
現世人類とは、ホモ・サピエンスのことであり、「賢い人間」という意味です。
地球の歴史上で最も支配的な種として繁栄してきました。
そんな我々現世人類は、およそ20万年~180万年前にホモ・エレクトスと分岐して誕生したと考えられています。
かつては多地域進化説とアフリカ単一起源説の2つの仮説が激しく対立していましたが
現在ではアフリカ単一起源説が主流です。
世界遺産「現生人類の出現:南アフリカの更新世の居住遺跡群」は、南アフリカにある
・ディープクルーフ・ロック・シェルター
・ピナクルポイント遺跡群
・シブドゥ洞窟
の3つで構成されています。
ディープクルーフ・ロック・シェルター




ディープクルーフ・ロック・シェルターは南アフリカの西ケープ州にあります。
模様の刻まれたダチョウの卵殻の水入れが見つかっており、これは人類がシンボルを使用した証拠としては最古のものです。
ハッチングによって直角または斜角に交差した線で構成された模様は、初期の人類が何かを
おそらくは「個人、もしくは集団のアイデンティティ」を表現したものと考えられています。
ケープタウンの北、約150km。大西洋の海岸線から約17km内陸に洞窟があり
この洞窟は、南アフリカで最も完全かつ連続した後期中石器時代の遺跡があります。
炉、灰捨て場、焼けた寝具から出た燃えた有機残留物と燃えていない有機残留物 等が見つかっており、現在でも研究は進められています。
この遺跡から見つかった植物の花粉など残骸から、この地域が現在よりも多種多様な樹木に覆われた河川環境であったことが分かっています。
更に、洞窟内からは海産の貝殻、亀の甲羅、オットセイ。ノウサギやモグラネズミ、小型の鹿や山羊、さらにはカバの骨も見つかっており
この辺りが草原や岩場、さらに海水はこの辺りまで川を遡ってきたことが分かっています。
ピナクルポイント遺跡群


アフリカ南岸の町モッセルベイのすぐ南にある小さな岬、それがピナクルポイントです。
一連の洞窟からなる遺跡群は、1997年に南アフリカの専門考古学者ジョナサン・カプランとピーター・ニルセンによって初めて発見され
2000年以来の発掘調査によって、17万年前から4万年前に人々が居住していたことが明らかになりました。
ピナクルポイント遺跡群からは
・海洋資源(貝類)の組織的な採取と、象徴的な行動の最も古い証拠
・石器を作るために岩を熱処理した最も古い証拠
が見つかっています。
象徴的行動の証拠として、ボディペインティング用の顔料を作ったと思われる痕跡や
岩を熱処理した証拠として、炉で木材をモヤしていたと思われる痕跡は
現代の行動性(ホモ・サピエンスの抽象的行動、思考、大型動物の捕獲、刃物技術など)が4万年前に突如現れ、大きな文化的飛躍によって達成されたとされる古い説を真っ向から矛盾するものです。
シブドゥ洞窟


シブドゥ洞窟は、南アフリカ、クワズール・ナタール州北部にある、砂岩の崖の洞窟です。
中石器時代の重要な遺跡で、およそ77,000年~38,000年前の遺跡です。
ここでは、現代の人類(ホモ・サピエンス)の技術の最も初期の霊がいくつか見つかっています。
・最古の骨の矢
・最古の石の矢
・最古の針
・熱処理された混合化合物接着剤の最古の使用例
・寝具の使用例
【寝具については、しばらくの間は最古(77,000年前)と思われていましたが、同じく南アフリカの他の遺跡で20万年前の使用例が発見されました】
接着剤や寝具の使用例は特に興味深い物とされています。
なぜなら、その製造と加工の複雑さは、初期の人類と現代人の認知能力との連続性を証明するものとすることができるからです。
世界遺産登録
現生人類の出現:南アフリカの更新世の居住遺跡群 は
(iii)現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。
(iv)歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。
(v)あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの)
上記3つの基準を満たしているとして
2024年にユネスコ世界遺産へ登録されました
コメントを残す